議長(下山 登)
8番。
8番(花房由美子)
お話のとおり、全教科で取り組まなければならない問題、これは本当のことだと思います。そして、教育の根幹に、この人権教育というものが据えてあるんだよというお話を伺って、とても安心いたしました。
しかしながら、一番最後のお言葉にあったように、この成果が出てくるのは、10年、20年後、先だよ、それでは今悩んでいる子供たちはどう救えばいいんだという、そこのところに問題を絞りたいと思います。
権利というような言葉を子供たちがある程度わかったとき、自分にもそういう権利があり、人にも持っている。それがわかったけれども、じゃあ権利を侵害されたときには、子供たちはどうすればいいのか、それを知っているのでしょうか。しつけの名のもとに行われる体罰とか虐待の場合、子供は自分が悪いからそうされるのだと思ってしまいます。また、加害する人は、本来子供を保護すべき大人である、親とか教職員であるために、そのことを訴えることすらもしにくい状態です。
法務省から全国に、人権養護委員は1万4,000人委嘱されております。そして、その中から子供の権利条約を批准した1994年の7月には、子供の人権問題を専門に扱う子供の人権専門委員が任命されました。これは、全国で600名ほどです。そのお1人である東京の平氏は、主な活動として、電話相談があり、設置された1994年の9月から2000年10月までの間に約5,600件の相談があったと。そして、その内容は1999年に限って言ってみますと、親の育児放棄、就学義務の不履行、親と同居人からの虐待、教師や塾の先生方によるセクハラ、実の父親や義父による虐待、教師の体罰や差別的な指導、そしていじめによるSOSやら自殺があったと言っています。子供からのSOSがあったら当然受けとめるべきですけれども、SOSを出す前に、子供たち本人が自衛することも大切だと思います。
子供がいじめや虐待、痴漢、誘拐といったさまざまな暴力から自分を守る力を育む教育プログラム「キャップ」というのがあるので、そのことを御紹介したいと思います。
「キャップ」というのは、CAPでチャイルドの子供のC、それからアソルト、暴力のA、それからプリベンションの防止のPの頭文字をとったもので、子供への暴力防止のことを表しています。このプログラムの内容は、人権教育に基礎を置いて、暴力について具体的な知識、それで子供がなぜ暴力を受けやすいのか、その理由と対応方法を、子供にもわかる言葉や方法で教え、そして、子供はかけがえのない存在であること、守るべき権利があること、権利を守る力が子供にはあることを伝え、自尊心を育てます。さらに、子供同士が助け合うことの大切さを伝え、大人への信頼感を育て、受け皿である地域、家庭、学校ぐるみで対応するものです。危機に直面した子供が嫌と断る。それから逃げること、それからそういうことがあるということを大人に告げる、ノー、ゴー、テルというその3つの対処法をとるように寸劇を楽しみながら護身術を覚えるようになっています。
この対象は親や教師、関係者の大人のセミナーと、それから小学生や就学前の児童、中高生のワークショップで、子供対象のときには必ずその保護者や先生など、大人のセミナーも実施することが必要です。子供だけ学習しても、受けとめる周りの人が知らなければ何にもならないからです。
近隣では、今年度香貫小、金岡小、原小、開北小、原東小、片浜中学、西浦小学校、以上が沼津で、それから裾野市、富士宮の白糸小学校、富士市の今泉小学校、田子ノ浦小学校、三島市、向山小、須走小学校、富士根南小などで実施しております。キャップというのは、全国で170グループほどが今活動しているんですけれども、静岡キャップというのが静岡県のまとめでありますが、子供への暴力プログラム実施事業に、今年度政府出資の社会福祉医療事業団から助成金が出され、それによって無料でのプログラムを実施している。静岡には、現在藤枝を中心にするグループと、それから富士を中心にするグループ、そしてこの駿豆地域を実施するグループと、浜松と4カ所にキャップがございます。長泉町でも、ぜひこのキャップを実施して、子供たちに暴力からどうやって身を守ったらいいかということを学習してほしいと思うんですけれども、この実施についてはどのように考えておられるでしょうか。
議長(下山 登)
教育長。
教育長(土屋郁夫)
チャイルドアソルトプリベーション、「キャップ」、暴力についての具体的な知識と対応、方法を教え、子供が暴力から自分を守る参加型教育プログラムというように、私はとらえております。何せ私は、このキャップという御質問をいただいて初めて知って、本当に恥ずかしい限りでございますが、4日前に議員から資料をいただきました。それから、3枚の資料を拝見しましたけれども、まだまだこの概要の一部のみしか私は理解しておりません。急いでいろいろ自分のルートを使ってお聞きしましたが、まだまだ理解していないというようなことがありました。そういう点で、全国には今議員おっしゃるように100幾つか、私にはいただいた資料の中で伺いますと、100グループ、県内が静岡県に5グループあるということでございますが、まだまだ情報不足でございます。しかし、議員おっしゃるように、昨今の子供に対する暴力をはじめ、人権にかかわる痛々しい事件が発生しておりますことを考えますと、非常に重要な活動であるということは理解できます。したがって、活動内容、今いろいろ御紹介をいただきました学校等のいろいろな様子も伺えます。活動あるいは成果等、私自身はじめ教育委員会としても理解に努めてまいりたいと考えております。したがって、まだまだ現状ではキャップ導入の実施は考えておりません。御理解をいただきたいと思います。
議長(下山 登)
8番。
8番(花房由美子)
キャップを受講した子供たちの感想・意見の中に、寸劇で見たとおりのことが起こったので逃げることができた。そういう小学校の子供の声がありました。それは学校の帰り道に、「お母さんが病気で入院したから、車のおじさんが送っていってあげるから乗りなさい」と言われた。それをそのまま劇で見せたのとまるっきり同じことが起きたので、これは変だと、私はうちへ電話をして確かめた。だから、助かったという声がありました。そして、相手と話をするときには、片方の手の分、これの手が触らない分、離れて話しなさい。そうすると、何かのとき、とっさに近寄られても、その人とは逃げる距離が保てますよと。そういうことによって、他人と話をするときには、どのぐらいの距離をとればいい、そういうことが僕、わかったと。そして、さらに本当に困ったときには特別な声を上げなさい。それは腹式呼吸のようなんですけれども、お腹に手を当てて、こういう声を出すんだよということが、このプログラムの中で実施されます。普通の悲鳴のようなキャーとかという声でしたら、何でその声が出ているか、周りの大人には判別がつかない。だから、そういうことを実際に自分たちでやってみて、普通聞かれない声があったときには、何か異常事態が起きたんだ、そういうことを出すことによって、周りの大人に知らせることができる。そして、一番大事なのは、友達との信頼関係で、困ったときには1人で対処しないで、友達と一緒に立ち合ってもらう。あるいは大人に話を、こういうことがあったという報告をすることだよという、そういうことを実施することによって、子供たちはかなり自分の権利がわかり、そしてどうすればいいかがわかったと言っておりました。
教育長は、実施は、今は考えていないとおっしゃいましたけれども、早めの実施を考えていただいて、そして1人でも被害がなくなるように、そして、いじめていた子供が、その相手の子供にもそういう権利を持っていて、僕がいじめていたということがわかったから、もういじめはしないよという感想文も見られました。やはり子供1人1人は、すごい、すばらしい力を持っていますから、その子供たちに、権利を自覚させて、相手にも権利があるということをはっきりわかるような認識の仕方、それをキャップから導入以外にも教育の中へ、ぜひとも折り込んでいただきたい。それは、ここでしっかりお願いしたいと思います。なるべく早めの実施を願いながら、次の質問に移りたいと思います。
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Last Update 2002. 6. 1